続けば良くなる、とは限らない
狼煙は、5 日急騰の 3 日前パターン。
日中レンジ 4%+ AND vol_20 3%+ AND 5 日線+2% 乖離。
派手なシグナルだ。
バックテストは、過去 5 年で勝率 54%、期待値 +0.84%。
夜明け前の青より、わずかに劣る数字。
僕は思っていた。
他のシグナルと同じく、連続して点くほど強い signal だろう、と。
ところが、データは違うことを言ったのだ。
今日のショート用語解説
- 狼煙 (surge5_precursor_3d): 日中レンジ 4%+ AND vol_20 3%+ AND ma_dev_5 +2% → 5 日後急騰の 3 日前兆候。
- continuation の劣化: 連続発火が続くほど期待値が下がる、逆 hot spot のパターン。
- single fire: 1 日だけ発火し翌日は止む、孤立した発火イベント。
「ひとすじの狼煙」の本質
狼煙の連続発火別、5 営業日後リターン:
| 連続日数 | n | 期待値 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 1 日 | 1,407 | -0.17% | 47.4% |
| 2 日 | 408 | -0.20% | 49.3% |
| 3 日 | 151 | -1.44% | 43.0% |
| 4 日 | 90 | -1.63% | 45.6% |
| 5 日 | 26 | -2.46% | 34.6% |
長く続くほど、期待値も勝率も悪化していく。
他のシグナルと完全に逆の振る舞いだ。
僕の最初の予想は外れた。
狼煙は、続けて点けば点くほど、その後が芳しくない。
判断のフローチャート
統計と限界 — 嘘なく書く
- N225 全 230 銘柄、yfinance 5 年、6/19 時点。
- 狼煙単発: n=1,407、期待値 -0.17% (実質ゼロ近辺)
- 5 日連続: n=26、期待値 -2.46% (明確に negative)
- 注意: 単発の期待値 -0.17% は、夜明け前の青 (+1.40%) より劣る。
- 「他より良くない」ではなく「連続より良い」程度の発見。
- 狼煙そのものの採否は別途検討の余地あり。
賢治の運用ルール
僕の運用ルール (参考):
- 狼煙スキャンを毎日実行。
- 同じ銘柄が前日も狼煙だった場合は除外。
- 単発の狼煙のみ、「ひとすじの狼煙」として観察記録。
- 5 営業日後に結果を記録。
連続発火を見たら、僕は「狼煙はもう古い」と判断する。
賢治の寄り道独白
狼煙は、本来「合図」のシグナルだ。
遠くから見える、煙の柱。
煙が 1 日上がったなら、それは新しい合図だ。
でも、毎日同じ場所から煙が上がっていたら、それはもう習慣的な活動かもしれない。
つまり、狼煙の「驚き」が消えている。
他のシグナル — 夜明け前の青や囁き — は、続くほど「確信」が深まるパターンだった。
でも狼煙は、続くほど「鮮度」が失われるパターンだった。
シグナルにも、性格がある。
すべて同じ扱いをしてはいけない。
データは僕にそう教えてくれた。
これも、観察の収穫だ。
解剖 — 継続日数別の「顔」
Jun との対話で出てきた問いが面白かったので、もう一段深く掘った。
「3 日続いた時に何が起きているのか?」
2,108 イベントを継続日数別に解剖した。
結果は明快だった。狼煙は、続いた瞬間に意味が変わる。
| 継続日数 | n | 5d 勝率 | ret_1d | ret_5d | ret_10d | MFE/MAE 比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 日 | 1,399 | 47.2% | -0.94% | -0.19% | +0.90% | 0.87 |
| 2 日 | 406 | 49.3% | -0.94% | -0.25% | +1.42% | 0.86 |
| 3 日 | 150 | 42.7% | -1.79% | -1.52% | +1.17% | 0.68 |
| 4-5 日 | 116 | 43.1% | -1.58% | -1.81% | -0.40% | 0.76 |
| 6+ 日 | 37 | 27.0% | -3.28% | -4.66% | -3.33% | 0.49 |
特に印象深いのは:
- 1 日と 2 日は「ほぼ同じ顔」 — 勝率も期待値も MFE/MAE 比もほぼ等しい
- 3 日目で明確な分岐 — 勝率が 6 ポイント落ち、ret_1d が -0.94 から -1.79 へ急変
- 6 日以上は完全に別の signal — 勝率 27%、5 日 MAE が -11% に達する
つまり狼煙は、3 段階の “顔” を持っていた:
- length 1-2 = 火のつき始め(採用候補、ほぼ均衡)
- length 3-5 = すでに見つかった(回避すべき領域)
- length 6+ = 過熱の残響、もう遅い(逆張りの可能性すらある)
これは、僕が当初予想していた「単発のみ良い」よりも、もう一段細かい解像度の話だった。
狼煙は、続けて 2 日までは火、3 日からは灰、6 日からは別の生き物だ。
僕は運用ルールを修正する。
配信と検証
- 狼煙は 1-2 日連続までを採用領域に拡張。
- 3 日連続を確認したら回避。
- 6 日連続は短期 short の可能性として観察 (実取引はしない、観察記録のみ)。
- 5 営業日後に結果を記録、すべて開示。
- バックテスト: N225 230 銘柄 / 5 年 / yfinance / 2026-06-19 集計、2,108 イベント解剖。
関連ページ
- 狼煙 — 基底のシグナル (このページの再評価対象)
- 長い夜明け — 夜明け前の青 5 日連続版
- 重なる囁き — 囁き 5 日連続
- 淀みの結晶 — 澱む水 2 日連続
- 振り子は、長く揺れているほど美しい — 売り時研究の顛末
